胡蝶楽群遊窯のこだわり 古唐津の野趣を目指して

陶芸家のこだわり

作品作りへのこだわり

作品は世界に一つしかない

古唐津風 青唐津ぐい呑み唯一無二の作品作り
「同じ物は作れない。」というのがそもそもの発想で、作品作りをするときは、そのときに使う粘土をその都度、作品にあわせて調合して使います。それもわずか2から3キログラム。
そうすると、毎回土の調合が変わってきます。
釉薬についても同じで、基礎的な釉薬は別として、焼成温度によって調整します。
当然釉薬の調子も毎回変わってきます。
当然手作りなので、全く同じ形はできません。
それならば、発想を変えて「同じ物は作らない。一つ一つの作品が唯一無二の作品として世に出してあげよう。」
問題は、注文を受けれない事ですね。「これと同じ物を作って下さい。」と言われても作れません。
同じようなものでもまず不可能ですので受注生産は行っていません。


土へのこだわり

古唐津風 黄唐津ぐい呑み作品にあわせた土選び
「自分の身近にある土(粘土・陶石・花崗岩・頁岩)を使って作品作りをする。」これは理想ですが、そうすると絵唐津や斑唐津、朝鮮唐津を同じ土で作らなければならなくなります。
古唐津の陶片を見ても、同じ窯跡から出土したと思われるものも同じような土ですが、全く同じではないようです。
当時から土はブレンドして使っていたのではないかと推測されます。
特に唐津焼が生産されていたと思われる肥前一帯には多量の土を産出している土場はなく、山間の粘土層からわずかな土を採取して作ったと思われるものや、最近の研究では砂岩を砕いて水簸(すいひ)して陶土として使用したいたのではないかと言われています。
現代社会においては、いろんな山に入って土を持ってくれば窃盗になります。

そういうわけで、土は自分の山の土をはたいて(カラカラにに乾燥させて砕いてふるいにかけて水に浸して、布にくるんで吊して、余分な水分を取り、ビニル袋で数ヶ月保管して)作った粘土と、佐賀県内の粘土業者と長崎県内の粘土業者から取り寄せたものと、友人から分けていただいた粘土をその都度、作品にあわせた調合で作っています。
これも毎回、焼成しては焼き色を見て調合し直すので、同じ物は作れない状態になっています。


釉薬へのこだわり

古唐津風 ぐい呑み 青唐津天然材料を用いて
「釉薬は自然の灰を利用して、自分の山の雑木を燃やして土灰や田の稲刈りが終わった後の藁を燃やしてわら灰を作る。」これもまた理想ですが、まずすべての釉薬をこのような方法で作るのは無理ですね。
せめてものこだわりは、天然材料を購入する。
特に、わら灰と松灰、土灰は天然材料にこだわります。
同じわら灰でも、取り扱う業者によって藁の色の濃さが違いますし、珪酸分の多さが違っているような気がします。というか違いますね。同じ調合で同じ温度で焼いても溶け具合が全く違います。
斑唐津の主な主成分ですので、この調合が一番難しいですね。
これからも研究を重ねて実験して、古唐津の野趣に富んだ作品に近づけるように努力していくつもりです。